プラント業界の将来性
プラント業界の将来性
ある?ない?
タケです。
一般的なメディアや日常会話ではあまり話題にあがらないプラント業界。
iPhone新作や国民的映画、タピオカなどといった爆発的なムーブメントとは無縁。単調かつ平穏に年月を重ねてきました。
ただ、陽陰どちらかと言えば「陰」のほうが印象深く、
たとえば、
「プラント業界」
といった検索をすれば、
「プラント業界 将来」
「プラント業界 今後」
といったネガティブな結果が表示されることからしても、これからの展望に不安を感じている人も多いという証拠なのでしょう。
しかしながら、転職市場を見てみると昔と比べても求人数が減っているわけでもなく、採用意欲を落とすことなく継続して募集している企業が多いことも事実。
この場で結論づけるものはないですが、今回は立呑みトーク程度のレベルで「プラント業界の将来性」について書いていこうと思います。
それではいきましょう、プラント百景スタート。
中堅層の存在
バブル崩壊、リーマンショックといった経済悪化直後は、多くの企業が新卒採用を見送りました。
例えばリーマンショックは2008年9月。
今から12年前のことです。
その年に新卒採用していたとするならば今で言う35〜40才くらいの中堅層です。
さて、あなたの会社にはその年頃のエンジニアはいますか。
大半の企業は新卒採用を見送るか最小数に抑えられ、今ではその中堅層が中抜けした、20代+50,60代といった若手&ベテランで構成された組織も多いと思います。
この業界で30代というのはとても貴重な存在で、プロジェクトを牽引し、現場をリードするのがちょうどこの年代です。
3,4年の若手には任せるにはまだ早く、年配者ではフットワークが絶望的。
今はそんな企業も多いと思います。
そしてそんな今よりも、この先課題となるのがこの先5年後、10年後。
年配エンジニアが一気に退職する事によって、次は管理・役職ポジションを担う人が手薄となります。
組織は徐々に平均年齢が下がっていきます。技術力、営業力低下もあるかも知れません。プラント業界はまだまだ古いお付き合いを優先する義理文化もあって、従来どおり受注できたとしても、そうしたことによって関係性や信頼度は少しづつ薄まっていくことも否めません。
若いからこその逆転
とは言え、こういった若い力が有効に発揮することもあります。
これまで着手してこなかった(これなかった)新しい分野への挑戦、新しい文化の取り入れは、比較的障壁なく採用できそうな環境下にあるとも言えます。
あらゆる決定権は当然諸先輩社員方による判断であって、これ以上も以下もありません。事業が順調ならばあえて逆張りや軌道修正する必要もなく、既存のビジネスモデルを継承し、継続・維持することが安泰のそれでした。
比較的、もともと新規参入してくる企業が多くなかった業界でもあるため「現状維持」以上の競争力を必要としなかったからかも知れません。
しかし、ここにきて少し風向きが変わってきました。
産業全体の括りで言うならば、石油精製や火力発電、そして鉄鋼などは、新エネルギーや新素材の開発や低コスト競争が世界的に活発化しはじめ、エンジニアリング分野でも各国の設計レベルが上がってきとことによって、日本国内需要であっても日本品質以外を求めることが増えてきました。
なにか動きを出さなければいけない選択の時期が来たようです。
おそらくその結果が出るのは早くても3年。
5年先、10年先を見据えた場合、その行動の主役は誰なのか。
その会議室にいた本人たちは、もうその時にはいないかも知れません。
そしてまた、その時よりも緊迫した会議が残された当人達で開かれるのです。
ちょうど今、時代の変わり目として大きな節目にきています。
プラント業界に限らず、管理・役職ポジションの年齢を下げる傾向にあります。
若い社員にも経営に参加してもらうというと大げさですが、決定権はなくとも意見は出してもらうくらいは必要かもしれません。
「若いモンには任せられない」と、いつまでも頑固な経営陣にかぎって、突如壁が現れた時にトンズラしない事を祈るばかりです。
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外国籍エンジニアを想う
エンジニアリング企業で言うならばアジア勢、特に韓国中国の技術力が近年で急激に底上げされ、もっというと営業力に関しては日本企業以上であることを認めなければなりません。
実際、国内で働く外国籍エンジニアも増えてきました。
まだ日本企業で働いてくれているうちは良いですが、これが海外のエンジニアリング企業が囲い始めると、そんな期待も青ざめるほど危うく感じます。
なにもプラントエンジニアリングは日本だけではありません。
Bechtel(べクテル:米)、TechnipFMC(テクニップ:仏)、Saipem(サイペム:伊)、Fluor(フルーア:米)、China Metallurgical Group(中国治金科工集団)、CB&I(シカゴブリッジ:米)など
上記の会社は日本専業企業の大手のそれとはスケールが違います。
もちろん、中小規模企業も数多く存在します。
日本で働く魅力が高賃金というならば、先はそう長くないないかも知れません。
むしろ英語だけで仕事も生活もできる環境のほうがありがたいでしょう。
「日本はスゴイ」と思っているのは日本人だけかも知れないという話でした。
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耐用年数の節目
プラントの耐用年数は建設から20年から40年と言われています。
それをとっくに越して現役運転している設備もまだまだあるようですが、ちょうど1970年あたりの高度成長期頃にたくさんプラントが作られました。
老朽化対策として何度も補修され続け、さらにCO2対策では設備改良も行ってきました。コスト削減でDCSや自動制御など操業新システムの導入など、新旧入り交じった切った張ったしたプラントも少なくありません。
それらの建て替え時期が、まさに今です。
なので商機はこれからもあります。
提案力・技術力がある企業が勝ち、そしてそのエンジニアを各企業が積極的に募集しています。但し国内に海外プラントメーカーが参入してくる可能性は高く、実際に水処理プラントでは国営施設であれ外資企業が数多く受注しています。
企業集約は「ある」
もともと就労人口が多い業界ではありません。
得意分野のみで生き残るにはリスクが高く、いつまでもエンジニアの獲得競争するのではなく、お互いに不足分野を補う企業集約(合併・吸収)は当然あると思っています。それは国内とも海外とも。
大手石油会社が太陽光発電をはじめたこともビックリしなくなった時代です。
すでに大企業では、ライバルは国内企業ではなく、海外プラントメーカーとの戦いを見据えた大改革が水面下で行われているはずです。
ただ、申し上げたとおり商機はたくさんあります。
業界が衰退していくのではなく、これまでの平穏が大きく崩されるときが近々来るのではという話で、そういう意味ではプラント業界は安泰ではないが活性化方向ではないかと考えています。
まとめ(将来性あるorない)
いかかでしたでしょうか。
どことなくSFじみた感じもしますが、大きく外していないと思います。
思ってもいなかったことが、パッと目の前に現れる時代です。
これまで普通だったことが、この先起こることはすべてが前代未聞の出来事になるでしょう。ただ、それも1年も経てばそれが日常になります。
まとめとしていいますが、プラント業界の将来は全体的に「◯」、時に「△」です。
中国や韓国が強くなってきた。